臨川寺りんせんじ)” の例文
名下めいか虚士きよし無しなど云へど名のみは當にならぬ世なり木曾道中第一の名所は寐覺ねざめの里の臨川寺りんせんじうつゝにも覺え名所圖繪の繪にて其概略そのあらまし
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
しかし、教えられた通りに寝覚山臨川寺りんせんじ境内けいだいまでせつけたのは、格別手間のかかることではありませんでした。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
臨川寺りんせんじの庭にきよして、獨り靜かに下瞰かゝんするに、水はあくまでみどりに、岩は飽まで奇に、其間に松の面白く點綴てんせつせられたる、更に畫圖ぐわとのごとき趣を添へたるを見る。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
桂離宮の玄関前とか、大徳寺だいとくじ真珠庵の方丈の庭とかは、その代表的なものと言ってよい。嵯峨さが臨川寺りんせんじの本堂前も、二十七、八年前からそういう苔庭になっている。
京の四季 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
京都の嵐山あらしやまの前を流れる大堰川おおいがわには、みやびた渡月橋とげつきょうかかっています。その橋の東詰ひがしづめ臨川寺りんせんじという寺があります。夢窓国師むそうこくしが中興の開山で、開山堂に国師の像が安置してあります。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
尊氏は、臨川寺りんせんじの三会院に、夢窓国師を訪ねていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宇治山田の米友をして、こんなにまで気をませておきながら、道庵先生は何をしている。ちょうど米友が寝覚の床の一枚岩の上に立ちはだかった時分に、先生はようやく臨川寺りんせんじの方丈に着きました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
下物さかなに飮むほどに空腹すきばらではあり大醉おほよひとなり是から一里や二里何の譯はない足が痛ければ轉げても行くこゝさへ此の絶景だものかねて音に聞き繪で惚れて居る寐覺ねざめ臨川寺りんせんじはどんなで有らう足が痛んで行倒ゆきだふれになるとも此の勝地にはうぶられゝば本望だ出かけやう/\と酒がいはする付元氣つけげんき上松あげまつから車を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)