臥転ねころ)” の例文
旧字:臥轉
原田の買って来た甘辛煎餅あまからせんべいをばり/\やりながら、運動場の芝生に臥転ねころんで、杉が真面目にこんな事を云い出した。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
亀屋という宿屋の、海の見える二階で、臥転ねころんで始めて海を見た。いつになく、其の日は曇っているのだそうな。
舞子より須磨へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
どこで飲んだかだいぶ酔っていましたが、私が奥の部屋に臥転ねころんでいると、そこへずかずか入って来まして、どっかり大あぐらをかきました。お幸は私のそばに坐っていたのでございます。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
唯下宿に臥転ねころんでグズリグズリとして文士に為りそうになっていたのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
てき相対あいたいしているというがしない。散歩さんぽにきて臥転ねころんで、はなしているようながする。」
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その関係は私自身の影にいても同じであった。じっとたたずんで自分の影を長く長く視詰みつめていると、影の方でも地べたに臥転ねころんでじっと私を見上げている。私の外に動くものはこの影ばかりである。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)