脱棄ぬぎすて)” の例文
脱棄ぬぎすて投出ほうりだしてあったり、おおいをとられたままの箪笥たんすの上の鏡に、疲れた自分の顔が映ったりした。お島はその前に立って、物足りぬ思いに暫くぼんやりしていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
む、む、寒いなあとか私も言って、急いで帯をグルグルと巻いて床へ潜り込む。雪江さんが私の脱棄ぬぎすてを畳んでいる。其様そんな事は好加減いいかげんにして早く来て寝なと私がいう。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)