脚腰あしこし)” の例文
しかし、吉村巡査はずきずき痛む脚腰あしこしをひきずるようにして家へ帰ると、その日は病気と称して公務の方は休んでしまった。
霧の蕃社 (新字新仮名) / 中村地平(著)
お艶が恐ろしさに身ぶるいして逃げようとしても、昆布こんぶのような物が脚腰あしこしにからみついていて一寸も動かれない。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
其処そこぢやい! 其処そこどころぢやにつてわし後見かうけん助言じよごんて、すぐれた、まさつた、あたらしい、……いゝかの、生命いのちのある……肉附にくづきもふつくりと、脚腰あしこしもすんなりした、はだい、つきてばたまのやう
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「母が申すには、脚腰あしこしの達者なうち、どうしても先にこころざした延安府えんあんふへ行って暮したいと望んでやみません。ご子息へはもう不肖ふしょうの武芸はのこりなくご教授申しあげた。……どうぞご一家にはこの先ともごきげんよく」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほんとに困ってしまうんですよ。病身でしてねえ。はあ、この一月ってものは、まるで脚腰あしこしが立たないんでござんす。ま、お掛けなすって、お茶でも一つ——」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)