肚裡とり)” の例文
なるほど、ふとりすぎた蕗みたい、此奴は食へない化け者だ、と家康も亦律義なカサ頭ビッコの怪物を眺めて肚裡とりに呟いた。然し、くみし易いところがある、と判断した。
黒田如水 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
この曲玉は馬琴ばきんが、八犬伝はっけんでんの中で、八百比丘尼妙椿やおびくにみょうちんを出すのに借用した。が、垂仁朝すいにんちょうの貉は、ただ肚裡とり明珠めいしゆを蔵しただけで、後世の貉の如く変化へんげ自在をきわめた訳ではない。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なるほど、ふとりすぎたふきみたい、此奴は食へない化け者だ、と家康も亦律義なカサ頭ビッコの怪物を眺めて肚裡とりに呟いた。然し、くみし易いところがある、と判断した。
二流の人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)