なら)” の例文
児供のカタゴトじみた文句をならべて辻褄つじつま合わぬものをさえ気分劇などと称して新らしがっている事の出来る誠に結構な時勢である。
あわれむべし過度の馳騖ちぶに疲れ果てたる馬は、力なげにれたる首をならべて、てども走れども、足は重りて地を離れかねたりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
牛島の弘福寺といえば鉄牛てつぎゅう禅師の開基であって、白金しろかねの瑞聖寺とならんで江戸に二つしかない黄蘗風の仏殿として江戸時代から著名であった。
古川は今から十四、五年前に不遇の中に易簀えきさくしてしまったが、今でもなお健在であるはずの市川文吉とならんで露語学界の二大先輩であった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
降って六朝はもとより唐宋以下の内容の空虚な、貧弱な、美くしい文字ばかりをならべた文学にあきたらなかった。
外山とやま博士一流の「死地に乗入る六百騎」的の書生節しょせいぶしとは違って優艶富麗の七五調をならべた歌らしい歌であったが、世間を動かすほどに注意をかないでしまった。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
二葉亭が語学校に在任したはわずかに三年であったが、その人格はあまねく露語学生を薫化して、先進市川及び古川とならんで露語の三川と仰がれるまで悦服された。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
然るに『我楽多文庫』公刊匆々そうそう二人が忽ち手を別ってしまったはいわゆる両雄ならび立たずであって
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)