耳順じじゅん)” の例文
わたくしがそもそも最初にこの劇場の楽屋へ入り込んだ時、わたくしの年齢は既に耳順じじゅんに達していた。
勲章 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もちろん人によっては而立じりつの年に至っても立ち得ず、不惑ふわくの年に至ってなお惑溺わくできの底にあり、知命ちめいの年に焦燥して道を踏みはずし、耳順じじゅんの年に我意をもって人と争うこともあるであろう。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
論者のいうごとき諸点、すなわち諸国の為政者に説き、有能な弟子を養成したというのは、むしろ六十耳順じじゅんに関係ある時代(五十七歳—七十歳)であって、五十知命に近いころではない。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)