耳立みみだ)” の例文
朝顔の花が日ごとに小さくなり、西日が燃える焔のように狭い家中いえじゅうへ差込んで来る時分じぶんになると鳴きしきるせみの声が一際ひときわ耳立みみだってせわしく聞える。八月もいつかなかば過ぎてしまったのである。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)