耀かゞや)” の例文
人々は歴史と空想とを編み交ぜたる我詞章に耳を傾けつゝ、彼過去の影をもて此現在の形となすにやあらん、その眼光は皆耀かゞやけり。
進んで和文世に出でゝ言語と文章のやうやく親密にちかづきし事情を叙する所、鋭敏なる観察力は火の如く耀かゞやけり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
目翳まかげして遥けみ見れば、いや寂し薄きの虹、また見ればさらに彼方に、いや高き連山つらやまの雪、いや遠き連山つらやまの雪、ひえびえと、つぎつぎと、続きつづきて耀かゞやきいでぬ。
どこを見ても、耀かゞやかしい幸運が自分を待つてゐてくれさうには見えなかつた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
じやくたるよもの光景けしきかな。耀かゞや虚空こくう、風絶えて
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
耀かゞやくさまを目にも見て
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
サンタは色蒼く、ひとみ常ならず耀かゞやけるが、友の詞を聞きていふやう。われも熱にかゝれりと覺ゆ。されど日曜日には病をつとめて往くべし。友のためには命をさへ輕んずべし。
真夏の日がきら/\と光り耀かゞやいてゐた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ひじりのみたまは面前を飛び過ぎ給ひしかど、はるかなき童のそのひかり耀かゞやけるさまにえ堪へで、卒倒したるならむといひき。これより後、われは怪しき夢をみること頻なりき。