織部おりべ)” の例文
瀬戸せとかまは古くかつ広く、早くより歴史家から注意せられた。特に「志野しの」や「織部おりべ」は好んで茶人間にもてあそばれた。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
『そういうことは、私の国の日本にもあります。ちょうど、ムッソリニと同じ語源に、織部おりべというのがある。』
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
これは福富の織部おりべなる者面白くをひる事に長じ、貴人面前にその芸を演じ賞賜多くて長者となる。
中川家の家士達は、途端に後へ迫って、織部おりべの相手方を、滅茶苦茶に斬りつけ、また、突きえぐった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欄間らんま蜀江崩しょっこうくずしがまた恐れ入ったものでげす、お床の間は鳥居棚、こちらはまた織部おりべの正面、間毎間毎の結構、眼を驚かすばかりでございます、控燈籠ひかえどうろう棗形なつめがた手水鉢ちょうずばち
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「一度古田織部おりべに見せるとしよう。あの男は将軍家の師範役だから……」
小壺狩 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
だが布志名焼の名誉がそれらのものにかかっているとは思えない。なぜなら皆京焼とか、織部おりべとかの弱い写しに過ぎないからである。そこにはとりわけ「出雲」がない。
雲石紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
漢土から帰化した織部おりべ機女はため縫工女ぬいめたちが、たわむれにしていた技法が進んで、武術にまで利用されるようになり、独立した武器とはならないが、攻撃法の前の奇手として、足利あしかが時代にまで
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
挿絵の如く織部おりべ風にある部分に緑を掛けたものや、薄き茶で「ダミ」を入れたものなどさまざまである。無地のものはかえって少ない。吹墨ふきずみのものがあるがいずれも末の作である。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「おのれ、われ独り武者顔する憎い奴。ここに織部おりべのあるを知らぬか」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)