“縋(す)” の例文
吾等が心情は已に古物(こぶつ)となつた封建時代の音楽に取り縋(す)がらうには余りに遠く掛け離れてしまつたし、と云つて逸散(いつさん)に欧洲の音楽に赴(おもむ)かんとすれば
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
どうして何時迄(いつまで)も過去を夢見て——あった日の貧弱な全盛に縋(す)がって、獅噛(しが)みついてなんかいるのだろう?
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「酷(ひど)いワ、姉さん、からかつて」と、妹は白い眼して姉を睨(にら)みつ、じつと身を寄せて又(ま)た取り縋(す)がり「ね、姉さん、松島様(さん)の方にお定(き)めなさいよ、私(わたし)、松島さん大好きだわ、海軍大佐ですつてネ、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
二人とも嬉しそうに、左右からその首に縋(す)がりつき
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)