総桐そうぎり)” の例文
総桐そうぎり小格子こごうし造りで、ここにこうやりながらやにさがってすわってみると、お旗本も五千石ぐらいな気持ちだね——ついでだからちょっと念を押しておきますが
六畳の部屋には、もう総桐そうぎりの箪笥が一棹えられてある。新しい鏡台もその上に載せてあった。借りて来た火鉢ひばち黄縞きじま座蒲団ざぶとんなどが、あかい畳の上に積んであった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その後にしつかりした錠前ぢやうまへの附いた総桐そうぎり箪笥たんすがさも物々しく置かれてある。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
総桐そうぎり箪笥たんすが三さおめ込みになっており、押入の鴨居かもいの上にも余地のないまでに袋戸棚ふくろとだなしつらわれ、階下したの抱えたちの寝起きする狭苦しさとは打って変わって住み心地ごこちよく工夫されてあった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)