がら)” の例文
「これこれ、樹の上のお猿さん、もがいた所でこの大木へ、がんじがらみになっているおまえが、どうもなるまい、見ぐるしいぞ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時に彼と養家との関係は、段々こんがらがって来ました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ひょうのごとき男女が無慮むりょ二、三十人も跳びついて来て、彼のからだをがんじがらめに、どこかへ引ッかついで行ってしまったのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家康の攻めかたは、まったくがんじがらめである。息もつけない、手も足も出せない。そうしたすきなしの攻城法でゆく。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人は呼吸を弾ませながら、男をがんじがらめに縛り上げておいて、番屋の者をよび、鎧櫃と三本錐をかつがせて、急いで、一たん奉行所へ引っ返した。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がんじがらめに荒縄をかけたうえ、麻痺薬しびれぐすりめたところを、また寄ッてたかッて蹴るやら撲るやらしたもんでしょう。坊主頭も見られたざまじゃありません。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると、つい今、捕えられた郷士の一人が、がんじがらめとなって、車の上にころがされている。いや、浅い板で囲ったその中には、旅人姿の者や僧侶や武士や、十人以上も、獣のように積まれていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「大丈夫、がんじがらめに、土台柱へ、くくり付けてある」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)