筋斗とんぼ)” の例文
如才ない富公は お嬢さん お嬢さん と機嫌をとつて、さかだちをしたり、筋斗とんぼがいりをしたり、いろんな芸当をやつてみせる。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
一升近く飲んでそのまま其処に酔倒れて、お膳の筋斗とんぼがえりを打つのにも頓着とんちゃくしなかったが、やがて不思議なだらだらした節で、十年も前にはやった幼稚な新体詩を歌い出した。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
毛唐けとうの重役の随伴おともをしてブライトスター石油社オイルの超速自働艇モーターていに乗ると羽田沖で筋斗とんぼ返りを打たせるといった調子で、どこへ行っても泣きの涙の三りんぼう扱いにされているうちに
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
腹の上で筋斗とんぼを切る、鳩尾みぞおちを蹴っ飛ばす、寝巻のすそ雉猫きじねこを押し込むという乱暴狼籍ろうぜき
子供は今和尚の目の前へ筋斗とんぼがへりをした大きな鯉を指ざしながら言つた。
そして、あまり嬉しかったので、逆立ちをしたり筋斗とんぼ返りをしてお眼にかけた。王様も大層お喜びで、今日からこの小僧に乞食をやめさせて、御殿のうちに抱えてやれとお言葉があった。
猿小僧 (新字新仮名) / 夢野久作萠円山人(著)