笠印かさじるし)” の例文
杉の葉でない、ざさ笠印かさじるしとしたまぎれない菊池方の兵が、すでに、味方同士で激闘しているのが、そこかしこに見られ出している。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よしっ。その者どもの笠印かさじるしをみなって捨てさせろ。そして、敗走する敵の中へまぎれ入り、偽わッて、敵陣の中へ敵兵となって潜り込め」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いらざることをとのお叱りをこうむるかもしれませぬが、敵方はみなこの烈風を見て、旗幟はたのぼりは用をなさじと、杉の葉を笠印かさじるしとしておる由にございまする。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、眼の前へかかって来た人馬の笠印かさじるしやら旅道具を見ると、俗に中黒なかぐろという丸に太い一本筋の紋——。足利家のと、よく似てはいるが、違っていた。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日ごろ教えをうけていた崇寿寺そうじゅじの南山和尚をたずねて別れをつげ、決死の部下、百五十騎に、みな笠印かさじるしを取りけさせ、山寄りの間道から、敵の中軍へまぎれ込んで行ったのだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が、祈願をこめたことは、後日、子の義満よしみつが当社に納めた願文のうちにも見え、またこのさい、全軍の将士が、神主かんぬしから杉の葉をうけて、それぞれの笠印かさじるしに挿したということでもある。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、中の二人が、こなたの兵の笠印かさじるしを見て
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)