うかがい)” の例文
碑の背面に食人之ひとのしょくを食者はむものは死人之事ひとのことにしすの九字を大書して榎本武揚えのもとたけあきと記し、公衆の観に任してはばかるところなきを見れば、その心事の大概たいがいうかがいるにるべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
此方こなたは生きたる心地もなくしげりし草むらの間にもぐり込み、様子如何いかにうかがいをり候処、一人のさむらい無理りに年頃の娘を引連れ参り、すきを見て逃出にげださむとするを草の上に引据ひきす
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
吾人ごじんはこれら歌麿の一枚摺によりてはじめて日本の婦女の最もうかがいがたき日常の姿を窺得うかがいうるなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わたくしは此のたびの草稿に於ては、明治年間の東京を説くに際して、寡聞の及ぶかぎり成るべく当時の人の文を引用し、之に因って其時代の世相をうかがい知らしめん事を欲しているのである。
上野 (新字新仮名) / 永井荷風(著)