突角とっかく)” の例文
道がへし折られたように曲って、その先きは、真闇まっくらな窪地に、急な勾配こうばいを取って下っていた。彼らはその突角とっかくまで行ってまた立停った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
とつぶやきながらひそかに胸を躍らした。本能的に用心深い足取りで、高い混凝土塀コンクリートべいを半まわりして、裏手の突角とっかくの処まで来た。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
尼院の庭はたいらかであったが、東は伊豆山の絶壁であり、南は熱海あたみの漁村まで、山なりに海へ傾斜している半島の突角とっかくだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ずんずんこちらへ歩いて来て、お雪ちゃんと当面の巌の直ぐ突角とっかくのところまで来ると、そこにずっと結びめぐらしてあった丸太の手すりに無雑作むぞうさに腰をかけてしまったものですから、お雪ちゃんが
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうして自身は制服のままお台場の突角とっかくに立って海上を見渡していると、やや暫くしてから足下の石垣をゾロゾロい登って来る者が居る。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一笑を冷やかに浴びせると、信長は静かに、駒首立てて、全軍の突角とっかくまで出て行った。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、槍をそろえて、その突角とっかくさえぎりに向ったが、まるで寄せつけなかった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
池田の将士は、敵の突角とっかくへ向って、ぶつかって行ったのである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)