秋蚕あきご)” の例文
旧字:秋蠶
丁度、秋蚕あきごの時分だし、畑の仕事もある。そこで、一文にもならないのならば、彼等は棄権する。二里も三里もを往って帰れば半日はつぶしてしまうからだ。
選挙漫談 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
殊に昨今は秋蚕あきごの仕事が片附かないので家じゅうのたたみなども不断は全部げてあるような訳だから、突然とつぜんお客様が見えても、お通し申す座敷もないと云う始末、そんな事情で
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼方かなたよりも数々思ひいでことばうれしく見つる、それも過ぎては月に一二度の便り、はじめは三四度も有りけるをのちには一度の月あるを恨みしが、秋蚕あきごのはきたてとかいへるに懸りしより、二月に一度
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
秋蚕あきごですか、たくさん飼ったんですか」
紅黄録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)