禰衡ねいこう)” の例文
ならん、誰が禰衡ねいこうを殺せと命じたか。——予を偉大な匹夫といったのは、当らずといえども遠からずで、そう怒り立つ値打はない。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禰衡ねいこうの返辞は、まるで見当ちがいである。何をまた云いだそうとするのか、荀彧じゅんいくは面喰らったかたちで、眼をしばたたいた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わたくしの知る範囲では、平原へいげん禰衡ねいこうしかありません。禰衡ならば、荊州に使いしても、先にひるまず丞相のお名も辱めまいと思われますが」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝廷の御宴ぎょえんの折、赤裸になって丞相を辱めた禰衡ねいこう——あの奇舌学人とは——古くから親交がありまして、禰衡にあんな悪戯わるさをさせたのも、後で聞けば、孔融の入れ智慧だったということです
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたちかおをもって、人物を選りわけていたら、偽者ばかりつかんで、真人ほんものを逸しましょう。そうそう、むかし禰衡ねいこうという畸人きじんがいましたが、丞相は、あの人間さえ用いたではありませんか」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)