神祇官じんぎかん)” の例文
神無月かんなづきの出雲の往来という類の、神祇官じんぎかんの記録と一致せぬ伝承などは、今一度この方面から仔細しさいに考察して見る必要があるように思う。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼は神祇官じんぎかんの附近を床几場とし、弟の直義をそばにおいた。直義が血気な突撃に出かねないのを、あんに抑えていたのである。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王政復古の日を迎えると共に太政官を置き、その上に神祇官じんぎかんを置いたのも、大化の古制に帰ろうとしたものである。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして嵯峨さがから内野方面へよくをひろげ、その本陣を神祇官じんぎかん(太政官の一庁)附近において、東南遠くの六波羅の府にたいし、すでに戦闘態勢に入ったということであった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山の神の信仰も維新以後の神祇官じんぎかん系統の学説に基づき、名目と解釈の上に大なる変化を受けたことは、あたかも陰陽道が入ってオニが漢土の鬼になったのと似ております。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
師が参与と神祇官じんぎかん判事とを兼ねて後には内国局判事と侍講との重い位置にあったころは、(ちなみに、鉄胤は大学大博士ででもあった)、あの友人も神祇権少史ごんしょうしにまで進んだが
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのうごきを今、高氏の本陣神祇官じんぎかんの大屋根の上から、物見の者が、いちいち、視野に拾って
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)