眼目がんもく)” の例文
殊にこの一番しまいの条件が眼目がんもくやのんで、その外のことは勿体もったいらしいに見せかけるための附け足りやと、光子さんはいいなさいますけど
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この塾の第一の眼目がんもくが、光りすぎた一人物の圧倒的あっとうてき影響力えいきょうりょくによって、自然にくずれてしまうのではあるまいか。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
わしの懺悔話はこれから眼目がんもくにはる訳だが、今日はもうくたびれたから、この続きは明日にしましょう。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「なんでござんしょうか——この遠駆とおがけの勝負の眼目がんもくは、つまり、あの白鳥しらとりみね大鳥居おおとりいまでいって、さっきの遠矢とおやを、一本ずつ持ってけえってくりゃあよろしいンですね」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここが原本には眼目がんもくの見せ場なるが、実に残酷の絶頂に達せるものにて、一睨ひとにらみごとに手をつて喜ぶ見物すら下を向いて見ぬ位なれば、いくら出したくても出せなくなるは今のなり。
それがばかに面白くって、時どき裏庭へ隣の人や朋友ともだちを入れて、それに見せてやったのです、そうです、ね、そのとき、私は十七でしたよ、お話の眼目がんもくはこれからですが、どうか、さあ
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これが今夜の眼目がんもくだったのです。山男はおさけをかぶりとんでいました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
遊びはもともと輪を作って開いたりつぼんだり、立ったりかがんだりするのが眼目がんもくであった。そうして歌は、またその動作と、完全に間拍子まびょうしがあっている。作者がほかにあったろうと思われぬのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「勉強のお手つだいをしてあげるのさ。それが学友の眼目がんもくだよ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それがこのお話の眼目がんもくですから、よくお聞きください。
鰻に呪われた男 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それが眼目がんもくだ。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)