相恰そうごう)” の例文
自信のない不自然な微笑を浮べている手塚を幸雄はきっと頭を廻して睨んだが、見るうちに相恰そうごうが変った。唇まで土気色をし
牡丹 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
自ら善人に善人にと見せ掛けて居た為に此の大悪の相恰そうごうが現われなんだのか知らん、兎に角も恐ろしい顔である。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
そのまたこわらしい髯首がしばらくの間眼まぐろしく水車みずぐるまの如くに廻転まわっている内に次第々々に小いさく成ッて……やがて相恰そうごうが変ッて……何時の間にか薔薇ばら花掻頭はなかんざし
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
門から這入はいって、庭を通って来て、渡り縁に腰をかけたが、今出ていった時とは、すっかり相恰そうごうが変って、額を紫っぽく黄色く、眼はボクンと落ちくぼみ、力なく見開いている。
美女が悪鬼に変った相恰そうごうの無気味さは、正面まともに顔も向けられません。
死の予告 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)