疎外そがい)” の例文
梅子の態度は、父の怒りから代助をかばう様にも見えた。又彼を疎外そがいする様にも取れた。代助は両方のいずれだろうかとわずらって待っていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
野田笛浦のだてきほと云う人が父の親友で、野田先生はどんな人か知らない、けれども山陽を疎外そがいして笛浦を親しむと云えば、笛浦先生は浮気でない学者と云うような意味でしたか
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
背徳はいとく疎外そがいの感じはあったが、別に妙な優越感がやがて彼に湧き上って来た。お前たちはせっせとありのように登校して行くが、おれはこんなところで一夜を明かしたんだぞ。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
はっきりいえないのだ——師匠が自分を疎外そがいして、あの白紙の巻軸を譲ろうとしたのが、原因とはなったが、そればかりで、こんなに憎悪ぞうおを忘れかねるのは、彼自身にも不思議な位だ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
朝廷で疎外そがいされたものは、上皇のもとへ走ってびへつらい、上皇に怒られたものは、天皇にひざまずいて、あわれみを、訴える。——それは、危険な、火事の火の粉にも似た飛びいといってよい。
「たれが、そうでないと、そちを疎外そがいしたか」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)