生靈いきりやう)” の例文
新字:生霊
「だつて、噛みつき相な文句でせう、持つて居るだけでも、生靈いきりやうに取憑かれるやうで氣味が惡いから、お蝶さんはろくに眼も通さずに、お勝手で燒いてゐました」
わたしの叔父は江戸の末期に生れたので、その時代に最も多く行はれた化物屋敷の不入いらずの間や、嫉み深い女の生靈いきりやうや、執念深い男の死靈や、さうしたたぐひの陰慘な幽怪な傳説を澤山たくさんに知つてゐた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)