生恥いきはぢ)” の例文
彼等親子は三人ともことごとく情ない人間だつた。が、その中にたつた一人生恥いきはぢさらした彼女自身は最も情ない人間だつた。
一塊の土 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
お前はそれを生きてゐる人間に知らせることはらない。あの女を安全に、氣樂にさせておけ。あの女の生恥いきはぢをこつそり隱し、そして彼女の許を去れ。
生恥いきはぢを京鎌倉にさらせしさへあるに、我れ平家の嫡流として名もなき武士の手にかゝらん事、如何にも口惜しく、妻子の愛は燃ゆるばかりにせつなれども、心に心を爭ひて辛く此山に上りしなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)