甜瓜まくわうり)” の例文
萱やすゝきが人の肩も見えぬばかりに生ひ茂つて、をり/\見る一軒屋には、桔槹はねつるべが高くかゝつて、甜瓜まくわうりきいろく熟してゐた。
草津から伊香保まで (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
自分らは汗をふきふき、婆さんがいてくれる甜瓜まくわうりを喰い、茶屋の横を流れる幅一尺ばかりの小さな溝で顔を洗いなどして、そこを立ち出でた。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
(帽子を脱ぐ、ほとんど剃髪ていはつしたるごとき一分刈いちぶがりの額をでて)や、西瓜と云えば、内に甜瓜まくわうりでもありますまいか。——茶店でもない様子——(見廻す。)
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
甜瓜まくわうり 九二・四四 一・一五 〇・四八 四・一〇 一・二四 四・五九
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
其処へ、緑美しき甜瓜まくわうりを盛つた大きい皿を持つて、静子が入つて来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
が、その作品のうちで、瓜——甜瓜まくわうりが讃美される。露骨に言えば、しきりに註文され、よく売れる。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれ等は松原から甜瓜まくわうりのころがつてゐる山畠を越し、山の裾のやうになつてゐるところを通り、それからちよつと小松の生えてゐる草原の露を踏わけ踏わけやつて来たのであつた。
磯清水 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)