猫楊ねこやなぎ)” の例文
水際の猫楊ねこやなぎの花が鵞毛のように水上を飛ぶ風景と、端麗神姫に似た山女魚の姿を眼に描けば、耽味の奢り舌に蘇りきたるを禁じ得ないのである。
雪代山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
それから、彼はそのついでにあのみぞの上へ冠さつて居る猫楊ねこやなぎの枝ぶりをつくろうても見た。その夕方、彼は珍らしく大食した。夜は夜で快い熟睡をむさぼり得た。
今まで猫楊ねこやなぎの枝のしがらみにからんで居た木の葉やら、紙片やら、わらくづやら、女の髪の毛やらの流れて行く間にまじつて、其処から五六間の川下を浮きつ沈みつして流れて行く長いものが
みぞの土手にある猫楊ねこやなぎからり落したその太い枝が、今でも、その渠のなかに流れ去らずに沈んで居て、それがしがらみのやうに、水上からの木の葉やら新聞のきれのやうなものなどをきとめて