爾今じこん)” の例文
それで、「英語はあなたの方が私より確かなのだから、そして命名法を一定することは私も賛成なのですから、爾今じこんあなたの命名法を使いましょう」
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
まだ駈出しのことで、とても一流とは参りませんが、爾今じこん宜しく御後援、御助力のほどお願ひ申上げます。
盗まれた手紙の話 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「これはこれは百地殿か、よい所でお目にかかりこんな喜ばしいことはない。愚僧は詰まらない西班牙イスパニア僧レオ・オースチンと申すもの、爾今じこんお心安く願います」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一日弓を彎いた弦音つるおと以てのほか響いてかたわらにあった姙婦を驚かせ流産せしめ、その夫の梵士怒って、爾今じこん、羅摩、庸人ようじんになれと詛う。それより羅摩生来の神智を喪う。
「おそらく、自分の眼界では、今はあなたにまさる人はあるまい。天下無双の剣といってもよいでしょう。爾今じこんは、あなた独自の一流をもって柳生流と称されるがよい」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このうえ聞こうとはいわぬが、そのかわり爾今じこんけっしてさきほどのような人騒がせのまねはせぬと誓約するか。さすれば、必ずともにわしがそなたの相談相手となってしんぜるが、どうじゃ
美代子と種則には爾今じこん逢い見ることかなわぬ、などゝ厳しくオフレをだす衣子、大浦博士の魂胆を見ぬいておりながら、やっぱり、まだ二人のクサレ縁は切れずにいる。
ジロリの女 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
大いに愕き逃げ出すを牝獅が呼び止め何と爾今じこん一処に棲んでなんじが不在には我が儞の児を守り我不在にはわが児を儞に託する事としようでないかというと、虎も応諾して同棲し、獅児を善牙
ただいま尾州家より家老をもって内々のお申し入れこれあり、品川宿の一条に対する詮索せんさく詮議せんぎ爾今じこん無用にされたしとのことにそうろう条、そのほう吟味中ならば手控えいたすべく、右伝達いたし候。
だが、何事もなく——鳥羽上皇の御落飾ごらくしょくの儀がつたえられた。爾今じこん、法皇ということになられたのである。すると、翌月、二月二十六日には、待賢門院の仁和寺入りが、つづいて、さたされた。
前関白の二条昭実あきざねに代って、爾今じこん、関白たるべしとの大命である。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾今じこんはせっかくご新規八百石をたいせつにいたさねばならぬぞ。
爾今じこん道なぞで会うても、予にことばなぞをかけてはあいならんぞ
爾今じこん、年号を
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)