爪立つまた)” の例文
椅子と椅子と間がまことに短いから、袖と袖と、むかい合って接するほどで、もすそは長く足袋に落ちても、腰の高い、雪踏せったさき爪立つまたつばかり。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さてこそと身をひそひそかに家の外に出で、背戸せとの方に廻りて見れば、正しく狐にて首を流し元の穴に入れ後足あとあし爪立つまたてていたり。有合ありあわせたる棒をもてこれを打ち殺したり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)