温突おんどる)” の例文
その覚悟で建てた赤煉瓦れんが温突おんどる式だからね。はばかりながら酒樽と米だけは、ちゃんとストックして在るんだ。十日や十五日シケ続けたって驚かないよ。ハハハ……。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから後を向いて、立っている三造にむかって「坐れ」というような手真似をしながら朝鮮語で何か言った。坐ろうにも、堅い土の温突おんどるの上に座蒲団もなかった。
プウルの傍で (新字新仮名) / 中島敦(著)
うたた脾肉ひにくたんに耐えないのであったが、これも身から出たさびと思えば、落魄らくはくの身の誰を怨まん者もなく、南京虫なんきんむししらみに悩まされ、濁酒と唐辛子をめずりながら、温突おんどるから温突へと放浪した。
勧善懲悪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その部屋は天井の低い、三畳ほどの温突おんどるであった。ゆかにはずっと渋色の油紙が敷かれていた。中庭に向って、四角な小さい窓が開いていて、障子の代りに青い簾が下っていた。
プウルの傍で (新字新仮名) / 中島敦(著)