温泉でゆ)” の例文
様々のあわれはあるが、春の温泉でゆの曇りばかりは、ゆあみするものの肌を、やわらかにつつんで、古き世の男かと、われを疑わしむる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なつかしや子規がみせし山の温泉でゆ
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
しかし、静かな春の夜に、雨さえ興を添える、山里の湯壺ゆつぼの中で、たましいまで春の温泉でゆに浮かしながら、遠くの三味を無責任に聞くのははなはだ嬉しい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして余はごうも二人の災難を知らずに、遠い温泉でゆの村に雲とけぶりと、雨の糸を眺め暮していた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)