渡辺崋山わたなべかざん)” の例文
珠算ひとり学びなどいう本まで、珠算なんてする気もなく読んだし、ドンキホーテも、渡辺崋山わたなべかざんも、占易うらないの本から、小学地理、歴史、修身
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
四月枕山は画家福田半香ふくだはんこうの碑文を撰した。半香は渡辺崋山わたなべかざんの門人。元治甲子の年八月二十一日六十一歳で没し、小石川こいしかわ餌差町えさしちょう善雄寺に葬られた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
昔し渡辺崋山わたなべかざんが松平侯の供先ともさき粗忽そこつで突き当ってひどい目にった事がある。崋山がその時の事を書いてね。——松平侯御横行——と云ってるですが。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ななめに見た標札屋ひょうさつや露店ろてん天幕てんとの下に並んだ見本は徳川家康とくがわいえやす二宮尊徳にのみやそんとく渡辺崋山わたなべかざん近藤勇こんどういさみ近松門左衛門ちかまつもんざえもんなどの名を並べている。こう云う名前もいつのにか有り来りの名前に変ってしまう。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
新富座しんとみざに時の大名優九世市川団十郎が「渡辺崋山わたなべかざん」をして、切腹の正念場の時、私は泣出したのだそうだ。父は私をかかえて家まで送って来て、折角のところを見そくなったとこぼしていた。
かの渡辺崋山わたなべかざん高野長英たかのちょうえいの芝居「夢物語盧生容画ゆめものがたりろせいのすがたえ」を上演した時であった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あそこに梅田雲浜うめだうんぴんがあり、橋本左内さないがあり、頼鴨崖らいおうがいがあり、藤田東湖ふじたとうこがあり、真木和泉まきいずみがあり、ここに岩瀬肥後いわせひごがあり、吉田松陰があり、高橋作左衛門さくざえもんがあり、土生玄磧はぶげんせきがあり、渡辺崋山わたなべかざんがあり
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
前の高橋作左衛門、土生玄磧はぶげんせき、後の渡辺崋山わたなべかざん、高野長英、皆そういう人たちである。農園と経済学との知識をもつ洋学者で、同時に本居平田の学説を深く体得した秋田の佐藤信淵さとうのぶひろのごとき人すらある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)