“油烟”の読み方と例文
読み方割合
ゆえん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
郵便局の角から入ると、それから二三ちやうあひだは露店のランプの油烟ゆえんが、むせるほどに一杯にこもつて、きちがふ人の肩と肩とが触れ合つた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
たたみは色が変ってお負けに砂でざらざらしている。かべすす真黒まっくろだ。天井てんじょうはランプの油烟ゆえんくすぼってるのみか、低くって、思わず首を縮めるくらいだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし私がこの世に生れて初めて縁日というものを知ってから、その小石川を去る時分までも二人の爺は油烟ゆえんあかりの中に幾年たっても変らないその顔を見せていた。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)