比律賓フィリッピン)” の例文
「すると、第一回の比律賓フィリッピン攻略は、結果失敗に終ったということになりますな」参謀肩章さんぼうけんしょうの金モール美しい将校が、声を呑んで唸った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
土民の比律賓フィリッピン人をはじめ、米人・支那人・露西亜人・西斑牙スペイン人等人種を問わず狩りあつめられていた千二百名の人夫は、五米の工事に一人ずつの死人が出るありさまに驚いて
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
比律賓フィリッピンにもいたんだ。村上兵曹。焼けげた野原を、弾丸がひゅうひゅう飛んで来る。その間をって前進する。陸戦隊だ。弾丸の音がするたびに、額に突き刺さるような気がする。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
比律賓フィリッピン総督ドミンゴ・ザルバルブル・ルシェベルリはシドチの為人ひととなりを知つていたく敬服の念を懐いたが、その金鉄の宿志をきいて深く憐れみ、一切の費用を負担して一艘の大船を艤装ぎそう
鉱山などに関する多くの利権を得て、亜米利加アメリカも、かねて東洋に進み出る時機をうかがっていたが、遂にその頃、布哇ハワイを得て、さらに長駆東洋侵略の歩をすすめて西班牙イスパニヤと戦い比律賓フィリッピンを取り
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
土民の比律賓フィリッピン人をはじめ、米人・支那人・露西亜人・西班牙スペイン人等人種を問わず狩り集められていた千二百名の人夫は、五メートルの工事に平均一人ずつの死人が出るという惨状におどろいて
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
比律賓フィリッピン第四飛行聯隊の主力は、オロンガボオ軍港を脱出し、中華民国浙江省せっこうしょう西湖せいこに集結せるものの如く、しかして此後このごの行動は、数日後を期して、大阪もしくは東京方面を襲撃せんとするものと信ぜらる。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)