武鑑ぶかん)” の例文
これは下谷の鷲津家所蔵の系譜に見る所であるが、当時の『武鑑ぶかん』には大沼又吉の名は記載せられていないようである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その文章の題材を、種々の周囲の状況のために、過去に求めるようになってから、わたくしは徳川時代の事蹟をさぐった。そこに「武鑑ぶかん」を検する必要が生じた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
徳川時代を通じておこなわれていた「武鑑ぶかん」について、いまの若い人たちは知ることが少いであろう。
武鑑譜 (新字新仮名) / 服部之総(著)
徳川時代の『武鑑ぶかん』や「紋帳」にあらわれている紋の数も、その数が五六百を超えないのである。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「おい、弟。——おまえの部屋に、新刷しんずり武鑑ぶかんがあるか」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紋盡もんづくしを見ろ。武鑑ぶかんでも宜い、向ひ鶴の紋所は?」
「珍らしくもない、武鑑ぶかんだよ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これらの事はその頃A氏の語ったところであるが、その後わたくしは武鑑ぶかんを調べて、嘉永三年頃に大久保豊後守忠恕ただよしという人が幕府の大目附になっていた事を知った。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
俳優の紋処もんどころ並にその系図を『武鑑ぶかん』に比したる『明和伎鑑めいわぎかん』の如き、あるひは天明てんめい八年京伝が描ける『狂歌五十人一首』の画像の如き皆江戸平民の考案せる芸術的遊戯の特色を示すものならずや。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)