正直せいちょく)” の例文
世界に存する貧の十分の九は懶惰より来ることを記憶せよ、また正直せいちょくなる仕事は如何に下等なる仕事といえども決してかろんずるなかれ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
正直せいちょくで一徹な老人は、言句に詰まったことを隠す法も知らず、懐紙を出して額の汗を拭いた。
ジャヴェルはりっぱな人物であり、下役ではあるが、しかし至って重要なるその役目を厳粛なる正直せいちょくさをもって果たす男である。そして彼は実にかくのごとく陳述したのである。
曼公が周防国すおうのくに岩国いわくにに足を留めていた時、池田嵩山すうざんというものが治痘の法を受けた。嵩山は吉川きっかわ家の医官で、名を正直せいちょくという。先祖せんそ蒲冠者かばのかんじゃ範頼のりよりから出て、世々よよ出雲いずもにおり、生田いくた氏を称した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ほめ上げるきまり文句がやって来た——道徳的国民(この点においてドイツ国民は他のあらゆる国民より秀でているとヘルデルが言った)——忠実なる国民(この忠実とは、真面目、忠実、公平、正直せいちょく、などのあらゆる意味を ...
法便を利用する浅薄なる仏教信徒と大差あることなし、基督は法便を退しりぞけて彼の信者たるものに単純正直せいちょくの真価直を示せり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
サウジーいわく「一人の邪魔者の常に我身に附きまとうあり、その名を称して正直せいちょくという」と、永久の富は正直によらざるべからずといえども正直は富に導くの捷径しょうけいにはあらざるなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)