楚々そゝ)” の例文
この娘が手甲脚絆きやはん負摺おひづるを背負つて、饅頭笠まんぢゆうがさに顏を隱したとしても、その楚々そゝたる姿や青春の美しさが沁み出るやうな御詠歌ごえいかの聲や
羚羊かもしかのやうなすんなりした脚で、何時いつもネビイブルウのソックスに、白い靴をはいてゐた。腰の線がかつちりしてゐて、後から見る姿は楚々そゝとした美しさだつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
楚々そゝとしてつものおもはしげに、たゞ一人ひとりなぎさ辿たど美女びぢよつて、遠慮ゑんりよなく色目いろめづかひをして、目迎めむか見送みおくつて、うだとれい本領ほんりやう發揮はつきしたのがはじまりである。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お夏は可憐で楚々そゝとして、充分に美しい娘でしたが、性根もなか/\に確かりしてをり、その上智慧もたくましく、近頃は道樂者の金之助も、次第にお夏の良さに引摺られる恰好になつて來ました。