案山子かゞし)” の例文
ベンヺ あのやうな冗繁あくどいことは最早もう流行はやらぬ。肩飾かたかけ目飾めかくしをしたキューピッドに彩色さいしきした韃靼形だったんがた小弓こゆみたせて、案山子かゞしのやうに、娘達むすめたち追𢌞おひまはさするのは最早もうふるい。
人間は何ものかを愛さねばならぬ。だから私は、自分の愛情にもつとふさはしい相手がないから、小さな案山子かゞしのやうにぼろ/\になつた、色褪せた人形を愛することに、喜びを見出さうとつとめた。
案山子かゞしたもと
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)