林家りんけ)” の例文
また新に濹という字をつくったのは林家りんけを再興した述斎じゅっさいであって、後に明治年間に至って成島柳北がしきりにこの濹字を用いた。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新家庭の林家りんけには、あれからというもの、何か気味のよくない暗影に忍び入られて、あわれ鴛鴦えんおうの夢も、しばしば姿の見えぬ魔手におびやかされ通していた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小松原舞二郎、生来せいらいの多病。それで剣道は自ら廃し、好める学問の道にむかい、林家りんけの弟子として錚々そうそうたるもの。広太郎と同年で二十三歳、それでいてすでに代講をする。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
林家りんけの党類はなはだ多くして、いずれも論説には富む者なれば、政府の中にたちまち林家の一政党をなし、しこうしてその党類の力、よく全国を圧倒するには足らずして、かえって反対の敵を生じ
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
林述斎は林家りんけ八世の祭酒である。平生その身厳職にあるがため山水風月の間に放浪自適する暇がないので、都下に幾個所も別荘を築いて林泉に心を慰めたという。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
大名の子一人、林家りんけの塾へやっても、巻絹の一台ぐらいは、束脩そくしゅうに持たせてやる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)