枕上ちんじょう)” の例文
まず「枕上ちんじょう」であるが、毎日の仕事に追われた上に、夜なべ仕事でくたびれて、やっと床につく多くの人には枕上は眠る事が第一義である。
路傍の草 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
雨声に至りては怒るにあらず嘆くに非ず唯語るのみ訴ふるのみ。人情千古かわらず独夜枕上ちんじょうこれを聴けば何人なんびとうれいを催さゞらんや。いはんやわれやまいあり。雨三日に及べば必ず腹痛を催す。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鞍上あんじょう厠上しじょうの場合にはこれが明白であるが枕上ちんじょうではこれが明白でないように見える。
路傍の草 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
三上さんじょう」という言葉がある。枕上ちんじょう鞍上あんじょう厠上しじょう合わせて三上の意だという。「いい考えを発酵させるに適した三つの環境」を対立させたものとも解釈される。なかなかうまい事を言ったものだと思う。
路傍の草 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)