“材(き)” の例文
紙を材(き)にして仕事もせず魔術(てづま)も手抜もして居ぬ十兵衞、天気のよい日と同じことに雨の降る日も風の夜も楽〻として居りまする
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
土と木と水——土中に木があって水がある、いや、水があるところに火がある、激しい遺恨(うらみ)が残っている——土中に柘榴の材(き)が張渡って、水のあるべきところに水がないとは?——井戸、古井戸!
蘭「ほんに旦那様は材(き)のお選みが六(むず)かしくってお囂(やかま)しいからねえ」
鴨緑江照りひろびろしあきらかに流氷(りうひよう)を追うて材(き)を流すなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
このをりよ、材(き)の香(か)のかげに
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
お上人様が一言半句十兵衛の細工をお疑いなさらぬ以上は何心配のこともなし、余の人たちが何を云わりょうと、紙を材(き)にして仕事もせず魔術(てずま)も手抜きもしていぬ十兵衛
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
材(き)の香(か)こそ深くもかをれ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
材(き)を釿(はつ)る斧(よき)の音、板削る鉋の音、孔を鑿(ほ)るやら釘打つやら丁〻かち/\響忙しく、木片(こつぱ)は飛んで疾風に木の葉の飜へるが如く、鋸屑(おがくづ)舞つて晴天に雪の降る感応寺境内普請場の景況(ありさま)賑やかに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
材(き)を釿(はつ)る斧(よき)の音、板削る鉋(かんな)の音、孔(あな)を鑿(ほ)るやら釘(くぎ)打つやら丁々かちかち響き忙(せわ)しく、木片(こっぱ)は飛んで疾風に木の葉の翻(ひるが)えるがごとく、鋸屑(おがくず)舞って晴天に雪の降る感応寺境内普請場の景況(ありさま)賑(にぎ)やかに
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
汝の建てられた彼塔は如何あらうと思はるゝ、丈は高し周囲に物は無し基礎(どだい)は狭し、何(ど)の方角から吹く風をも正面(まとも)に受けて揺れるは揺れるは、旗竿ほどに撓むではきち/\と材(き)の軋る音の物凄さ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
汝(おまえ)の建てられたあの塔はどうあろうと思わるる、丈は高し周囲(まわり)に物はなし基礎(どだい)は狭し、どの方角から吹く風をも正面(まとも)に受けて揺れるわ揺れるわ、旗竿(はたざお)ほどに撓んではきちきちと材(き)の軋(きし)る音の物凄(ものすご)さ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)