曳航えいこう)” の例文
「友田」の提灯にとりかこまれて、憂鬱そうに、金五郎が、そのへさきに立っていた。金五郎の乗って来た小伝馬は、とも曳航えいこうされている。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
本当の魚雷や砲弾を引きつけるような大磁力を得ることは、しかもそれを軍艦の尾部につけて曳航えいこうさせるなどということは、学問上不可能なのだ。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ほかに六〇トンの小蒸汽船「グレタ号」を準備して、黄海を渡るときはチャイナ号に曳航えいこうさせた。
撥陵遠征隊 (新字新仮名) / 服部之総(著)
今は芝浦に碇泊ていはくしています。んでも荷物の積込みが遅れたとかって船主キーパーの督促で、昨晩日が暮れてから修繕が終ると、そのまま大急ぎで小蒸汽こじょうき曳航えいこうされて出渠しゅっきょしました。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
結局、友田方が引きあげることになり、二隻の伝馬船は、水上のランチに曳航えいこうされて、若松側へ帰って行った。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
パナマ丸が、中ノ島横を通過するのが見えると、石炭を満載した数隻の艀が、曳蒸気船ひきボート曳航えいこうされて、若松側の鉄道桟橋下から、本船に向かって、進行して来た。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)