こわ)” の例文
三十間堀へ出ようとする紀の国橋の畔、なるほど、寝呆け稲荷の裏に当って、見る影もない三軒長屋、端の流元ながしもとからこわれ行燈の灯がちらちらと——。
時間はと思ったが、腕時計は無論めちゃめちゃにこわれて、針が折れてるから遭難の時刻も、大凡おおよそ三時半ぐらいとは思われるが、本当のことはわからない。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
僕は今に健康からだこわすばかりでなく、頭も狂いそうです。……一体どうしたらいいでしょう?
誰? (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
御米は髪のこわれるのを、女らしく苦にする勇気にさえ乏しかったのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)