据腰すえごし)” の例文
と、琴曲の看板を見て、例のごとく、帽子もかぶらず、洋傘こうもりいて、据腰すえごしに与五郎老人、うかうかと通りかかる。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と呼んだのが、驚破すわや事ありげに聞えたので、手んぼうならぬ手を引込ひっこめ、不具かたわの方と同一おなじ処で、てのひらをあけながら、据腰すえごしで顔を見上げる、と皺面しわづらばかりが燭の影に真赤まっかになった。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余りにそのきたるがごとく、目に微笑をさえ含んで、澄まし返った小憎こにくらしさに、藩主が扇子をもってポンと一つ頭を打つや、さっと立って、据腰すえごしに、やにわに小刀ちいさがたなに手を掛けて
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ながれ案山子かかしは、……ざぶりと、手をめた。が、少しは気取りでもする事か、棒杭ぼうぐいひっかゝつた菜葉なっぱの如く、たくしあげたすその上へ、据腰すえごしざるを構へて、頬被ほおかぶりのおもてを向けた。目鼻立めはなだちは美しい。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
喜番、据腰すえごしに手を突き出し、真顔に天井を仰ぎながら
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)