)” の例文
母親は、庭へ童子をれて出た。童子の好んだ青い扇のような芭蕉は、もう破れた竜旗のようにはたはたと夕風に櫛目を立てていた。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
そこへ彼の伜が来て、るようにして彼をれ帰ったのだったが、彼はその晩、ひどく腹を病み、とうとうその明け方に死んだ。
或る部落の五つの話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ちょっと話があると言って、にわかに葉子は薄暗い別室にれこまれた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お俊はそう言ってきよ子を土手の上へれてくるのだが、きよ子はべつだん母親に抗うこともなく従順にいてきて、土手の上であそぶのだった。
童話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
何処からさらって来るのか、博士は何時も生きている人間をれて来て、それを実験台に載せるのであったから。
それにしても乳母の方のらちが開かないので、むやみに急がすと明日はきっとれて出かけるという返電があった。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「これはわしの弟子でれて来たのですから、わし同様にいとしがってやってください。」
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
九歳の時に裏山にれこまれた。
神のない子 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)