抑揚よくやう)” の例文
その次ぎには、句讀點くとうてんや語勢、聲の抑揚よくやうや場合に應じた身振などに注意して、短かい詩を朗讀した。彼女の年頃にしては、まつたく並々なみ/\ならぬ出來だつた。
蟋蟀こほろぎ其處そこらあたり一ぱいきしきつて、あつまつたこゑそらにまでひゞかうとしてはしづみつゝ/\、それがゆつたりとおほきな波動はどうごと自然しぜん抑揚よくやうしつゝある。おつぎは到頭たうとう渡船場とせんばまでた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
お町の調子は淡々としてなんの抑揚よくやうもありません。
力強い、しかし低い抑揚よくやうで彼がその言葉を口にしたとき、深い沈默がつゞいた。やがてウッドが云つた——
時々ベシーは仕事に氣をとられて繰返しを非常に長くゆつくり引張つた。「むかし、むかし」の一節が挽歌ばんかの悲痛極まる抑揚よくやうのやうに響いた。彼女は、ほかの小唄を唄ひ出した。