所有者もちぬし)” の例文
先ず第一にその人物は、受動的の心の所有者もちぬしであらねばならぬ。何となれば、本人の心が吸収するだけしか、何事も注入し得ないからである。
かの顏を見るや、我はこれらを物にうつれる姿なりとし、その所有者もちぬしの誰なるをみんとて直ちに目をめぐらせり 一九—二一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
幽かな色触香響の末の末まで嗅ぎわけて常に怪しい悲念にかき暮れ得る高貴な心の所有者もちぬしは極めて少い。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
われ等はかかる軽信けいしん家の群に対して、言うべき何物もない。同時にわれ等の手に負えぬは、かのよどめる沼の如き、鈍き、愚かなる心の所有者もちぬしである。
われ等の求むる所は、どこまでも自由で、素直で、純情で、知識慾が旺盛で、真理の吸収にかけて飽くことを知らぬ、清き魂の所有者もちぬしであらねばならぬ。