我田引水がでんいんすい)” の例文
甚だ我田引水がでんいんすいのようですが、特別の知識をもって秩序的に研究する人は格別、単にその年代が古いとか、世間にめずらしい品であるとか云うので
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と大きく出て、我田引水がでんいんすいに取りかゝった。絵の修業はすべての俗事を忘れて頭を休める趣意に最も能く叶うとあった。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
これに反し、人心とは道心のそのせいうしなったところで、我田引水がでんいんすい的に勝手しだいの理屈りくつを案ずる心理動作どうさで、自己の感情によりて万事を判断する心である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
とは申せ「東京のうなぎは蒸して焼くから、だしがらのようなもので決してうまいとはいえない」と、よく関西のうなぎ屋がけなしているが、聞くに耐えぬ我田引水がでんいんすいだ。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
こう申しては、我田引水がでんいんすいとお聞きかも知れぬが、主人孫権はまれに見る英邁篤実えいまいとくじつのお方で、よく先哲の秘説をさぐり、賢者を尊び、有能の士を求めること、実に切なるものがある
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何うも宗教家は解釈が我田引水がでんいんすいだから気に入らない。あのドンにそんな国際人道的の意味があるもんか。仮りに東山あたりで、毎日大砲を打つとして見給え。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)