憶良おくら)” の例文
憶良おくら熊凝くまこりを悲しんだものに、「たらちしや母が手離れ」(巻五・八八六)といったのは、此歌を学んだものであろう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ませのうちなる白菊、というのは真瀬ませいちという按摩の金貸しのお嬢さん。われら(吾良)というのは憶良おくらの弟子ぐらいにあたる貧乏な詩人。かくしつつ、というのは確執かくしつして。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
皆社会外に立てる人にあらずして要するに詩作家たるのみ、人丸ひとまろ赤人あかひと憶良おくら家持やかもちまた人格の察すべきなく、今日においてはただその詩作家たるを感ずるのみ、以上の諸大家
絶対的人格:正岡先生論 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
我が行くは憶良おくらの家にあらじかとふと思ひけり春日かすがの月夜
大和ぶり (新字旧仮名) / 佐佐木信綱(著)
細かくふるう哀韻を聴き得ないのは、憶良おくらなどの歌もそうだが、この一団の歌人の一つの傾向と看做みなし得るであろう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)