くやし)” の例文
今思へばあの時の不心得が実にくやしくて悔くて、私は何とも謂ひやうが無い! 貴方が涙をこぼして言つて下すつた事も覚えてゐます。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
盡して爲し支度さへ今浪費むだづかひに成りたるはくやしき限りに候へど夫も是非なきことながらモウ結納ゆひなふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「狭山さん、私はこんなに苦労を為て置きながら、到頭一日でも……貴方と一処に成れずに、芸者風情ふぜいで死んで了ふのが……くやしい、私は!」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それまで大事を取つてをりながら、かう一も二も無く奇麗にお謝絶ことわりを受けては、私実に面目めんぼく無くて……あんまくやしうございますわ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)